2. いくつかの種類
いまのところ、鋳鉄境界標は6種類を確認しています。
大きさの比較のため1枚の画像にしています。(クリックで拡大)
正式名称は未だ不明なので、これらについている名前は私が仮につけたものです。
原寸大のPDFファイル(A3ヨコ100%印刷でほぼ原寸大になる)を用意しましたので、興味のある方はご利用ください。
岩手県鋳鉄境界標
大きさ 147mm × 98mm。一番数が多く、300ヶ所以上を確認しています。全発見数の4割以上を占めます。ちなみに鉈屋町内にあるものは、すべてこの型です。
設置場所や劣化状況からみて、おそらく5種類の中でも一番古い型で、昭和40年代前半の設置ではないかと思いますが、確証はありません。
2箇所ほど外れている状態のものを発見し、裏面を確認できました。細い四角錐状のスパイクが2本出ていて、ドリルで開けた穴にモルタルを詰めて、そこに差し込んで固定しているようです。写真では左のスパイクが折れています。
岩手県鋳鉄境界標 異字体
大きさ 147mm × 98mmで上に同じ。数は50個弱であまり多くはありません。字体が独特で、「岩」の字の山かんむりの三角が、岩手県の県章と関係あるように見えるのは私だけでしょうか。
国道106号線の4号線バイパス茶畑交差点から西側に始まり、県道1号線の起点から中央通、夕顔瀬橋を渡り、東北本線を超えて太田橋の北側にまで存在します。
先の岩手県鋳鉄境界標よりは後のものと思いますが、これも確証なしです。
岩手県鋳鉄境界標 中
大きさ 120mm × 54mm。かなり数が少なく、盛岡市内では10数ヶ所しか見つけていません。
単独でぽつんと設置されていることが多く、しかも「なぜこんなところに?」という場所にあったりして、驚きを持って見つかるのが常です。
設置、劣化状況から、岩手県鋳鉄境界標より後で「小」よりは古いと思いますが、一番謎の多い型なのでなんとも言えません。
岩手県鋳鉄境界標 小
大きさ 77mm × 40mm。150ヶ所以上を確認し、未確認の道路があるため、まだまだ数が増えそうです。
左上の矢印が境界点を示すという、明らかに境界標識として作られているのが、他の鋳鉄境界標とは違うところです。字体は「中」に似ていますが細部が異なり、「中」を参考にして作ったような感じもします。
5種類の中では間違いなく一番最近のものです。設置場所は比較的新しい道で、平成時代に改良、拡幅されたところもあります。まだ記録や記憶が残っている可能性があり、根気よく調べれば何か出てくることもあると思っております。
盛岡市鋳鉄境界標
大きさ 147mm × 98mmで岩手県鋳鉄境界標に同じ。中央通と大通に130ヶ所弱を確認しています。
これらは盛岡市役所への調査で、設置範囲と年代がある程度特定できました。現状の設置場所が、昭和34年(1959)から53年(1978)に行われた、仁王地区区画整理の範囲と一致するので、このときに入れられた可能性が高いとのこと。
当時、岩手県の境界標の設置に合わせて、もしくは便乗して「盛岡市」を設置したのであれば、時期的には岩手県鋳鉄境界標に次ぐものではないかと思います。もしそうであれば岩手県鋳鉄境界標の、昭和40年代前半設置の間接的証拠になりそうですが、どうでしょう。
岩手県鋳鉄境界標 新中
大きさ 151mm × 70mm。2022年12月10日、東和町土沢にて33ヶ所(うち1ヶ所は撤去跡)を確認しました。
「中」に近いサイズと思い込んでいたのですが、実際は幅が標準のものに近く、まったく別物です。字体は細身で、他の境界標とは異なっています。
境界点を示す矢印がないことから、「小」より古いのでしょうか?、その割には新しめに見えるものが多かった気もします。
これは感ですが、製造している業者が違うのでは?、と思っております。