黒石野2丁目の閉鎖通路 1-2
公図・配管図・航空写真

2025年9月24日に撮影
さて、ここは何なのか。現場で掴んだ「予感」を元に、戻って調査にかかります。

まずは公図です。ありがたいことに、ここはネットから請求可能でした。
公図には現場で草木に埋もれていた「現存しない道」も描かれていました。

そして今回の経路の地番「12-92」の登記を調べてみます。
なんと地目(土地の用途)が「用悪水路」になっています。ここは水路敷地なのです。

所有者は「盛岡市」。おそらく現用の排水路が通る経路です。
「都市計画法第40条2項の規定による帰属」とは、住宅地が造成されて完成したときに、この部分が「下水道管理者である」盛岡市に引き渡されたということです。
階段を登りきったところにあった住宅地が、平成12年(2000年)にできたのでしょう。
出典:盛岡市上下水道局を元に作成、クリックで拡大
出典:盛岡市上下水道局を元に作成、クリックで拡大
盛岡市上下水道局で配管図も確認してきました。
ちょっと見づらいですが、上が「汚水排水配管」、下が「雨水排水配管」です。
階段にあった2つの並んだマンホールが、汚水と雨水配管のものでした。
出典:国土地理院を元に作成、クリックで拡大
昭和51年(1976)の航空写真。
階段上の住宅地になっている部分は、森林と畑が広がっています。水路らしきものは見当たりません。

出典:国土地理院を元に作成
平成6年(1994)の航空写真までは変化が見られませんが、

出典:国土地理院を元に作成
平成10年(1998)の航空写真では、現在、黒石野墓地になっている部分を除いて木が伐採され、土地が造成されている様子が伺えます。
そして先程の登記の記述から、平成12年(2000年)に完成したと思われます。
出典:国土地理院を元に作成、クリックで拡大
平成20年(2008)の航空写真。現況とほぼ同じ状態です。
木が茂っていないので、今回の経路がはっきり分かります。終点にはすでにフェンス扉があるように見えます。
やはりここは、上の住宅地ができた際に作られた「新しい水路」であると思います。
今回「なぜ閉鎖されているのか」に関してはあまり追求しませんでした。
実際に通ってみた結果として、階段があって歩行者しか通れないこの道は、この辺の道路・施設・地形を考えると、通行する用途が見いだせなかったからです。強いて言えば「散歩」ぐらいしか思いつきませんでした。
それどころか悪い方に考えると、違法駐車や不法投棄の場所になってしまいそうです。
ただ盛岡市としては、排水管の管理があるので通れない訳にはいかない、そういった落とし所があのフェンス扉なのかも、と思っております。
参考記事:消えた 北上川上水堰(北上川上水路)